2009年6月8日月曜日

引き出し・抽斗・ひきだし

ここ数日仕事に集中していたので、このウェブログの更新は8日ぶりになりました。
写真は桐の文机(全景でなくてゴメンなさい)。施主様宅から伐採し、製材からアク抜きまで1年と数ヶ月の時を費やした桐材を使用しました。

この文机、抽斗が横並びで2杯ございます。半仕込み・半カブセといった抽斗の形状です。

「開いた抽斗を閉めると、他方の抽斗が開き始める。う~ん良い仕事をしているね」なんて神話じみたお話をされる方もいらっしゃいますが、単に
職人たちは開け閉めしやすいように空気の逃げ道を作っているだけの事だったりします。

僕も抽斗の開け閉めは基本的にガタが無く軽いのが好きなので、抽斗を閉めたときに圧送される空気を他方の抽斗に逃がすようにしていますが、他方の抽斗にモノを詰め込んだ状態の時などは思うように空気が逃げてくれず、開け閉めが重くなってしまいます。

裏板下部に施した空気穴(逆さ状態で撮影してます)

ですから、補助的に外部に空気を逃がす加工を施しておけば、実際に使用する段階でも極端に抽斗の開閉が重くなることはありません。
桐材の抽斗の場合、底板は通称?「ベタズリ」といって抽斗箱の下側から接着剤や木釘などを用いて圧着するのが一般的です。これは桐材が柔らかい為、下部に掛かる抵抗を分散させる目的だと理解しています。
当然、抽斗の開閉時に棚口とこすれる面積が大きくなるので、各部材の木目方向によっても開閉時の抵抗が変わってきます。

余談ですが、八分通しと呼ばれる桐箪笥や安価な桐箪笥を除いて、一般的な桐箪笥の側板や棚口などは正面から見た厚みのまま後ろまで(奥行き)とおして有る訳ではありません。正面から奥行き45ミリ~60ミリ程度は厚さを保ち、その奥は空気の逃げ場としての空間が確保されています。

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