2009年8月10日月曜日

鉋 刃口埋めを考える

鉋台は、下端を調整し続けると刃口が広くなってしまいます。刃口が広いと木材の逆目が上手く止めることが出来ません。職人さん達は広がった刃口に埋め木をして道具として仕立てています。
上の写真の両端は、購入当初から刃口を更新できるよう埋め木が添えられた鉋台で、真ん中は自分で刃口を埋めた鉋台です。
永く使うには、右端のように木工用ボンドを薄く点付けして埋め木を固定したものが良いように感じます。
このような埋め木の固定方法の場合、刃口を更新する際は鑿で軽く固定部分を浮かしてから、木槌でたたいてやると外すことが出来ます。

ビスで埋め木を固定したものは、更新する時は楽なのですが鉋台が薄くなってくると2番目の写真のようにビスの先端や埋め木の座グリ加工した部分が現れてしまいます。
また、埋め木に用いる材はあまり濃色なものは避けたほうが好ましいと僕は思います。鉋刃の出具合を見るとき、刃口材が濃色だと確認しづらいのです。

話は変わりますが【鉋大全】という書籍を買いました。まだ全部を読んではいませんが、冒頭に【船弘】の鉋が紹介されています。
1枚目の写真の左端の鉋は10年以上前に注文して作っていただいた【船弘】の鉋です。購入当時の記憶ですが、【船弘】といえば鉋より鑿のほうがイメージは強かったと思います。
購入当初は、やたらと刃こぼれする鉋だなぁと思いましたが、研ぎ進めていくと調子が良く仕上がるようになりました。鉋台も併せて注文したのですが、僕の調整が下手なのか裏金を押さえる金棒の位置に不具合があります。裏金の耳を立てても裏金を押さえきれないので、簡易的に押さえ棒にテープを巻きつけて対応しています。だいぶ前の事ですが、この鉋を土田刃物店の土田昇氏に見ていただいた事がありまして、その際 土田氏が仰るには、「一度押さえ棒を抜いて、埋め木してから再度適正な位置に取り付けなおしたほうが良い」と云われたのですが、ナマグサな性格がたたって未だに実行していません。
道具の仕立て直しって、結構思い切りが良くないと出来ないのです。(あくまで僕の場合・・・)

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