2009年5月15日金曜日

燃えづらいという桐を考えてみる

え~5月半ばだというのに肌寒い日もある訳で、そんな日は作業場のストーブも活躍してくれます。
今日は、今 手がけている仕事の桐の端材を焚き付けに暖をとっています。
細かい端材のせいか、焚き付ける時はマッチ1本で着火します。もちろん着火しやすいように井桁に組んで着火する訳ですが、とてもよく燃えます。

よく「桐は燃えずらい」と聞きますが、うろ覚えで申し訳ありませんが、一般的な建築木材の杉の発火点が240度に対して桐が270度だったと思います。確かに30度の差はあるものの、ストーブの薪で使っているぶんにはその差を実感できません。
また、「桐は木というより草に近いから燃えづらい」という話も聞いたことがありますが、枯れ草が良く燃えるように家具に使われる乾燥した桐も良く燃えるのも事実です。

え~決して「桐は燃えづらい」という事を否定している訳じゃ有りませんので・・・
火災から、桐箪笥の中の衣服が守られたというのも実際にあった事でしょう。

だいぶ前に、桐材を扱う材木屋さんを営んでいたおじいちゃんと お茶を飲みながら話をしていた事を思い出したのですが、おじいちゃん曰く「火事の際、消火活動で多量に水分を含んだ桐箪笥は、素材が膨張し 引き出しの隙間を塞いで気密性が高くなるからいいんだよ」と仰っていました。
桐箪笥は、砥の粉にハンの実(やしゃぶし)を煎じた染料を混ぜたものを幾重にも塗り重ね 最後に蝋で磨いた仕上げが一般的で、いくら蝋磨きして撥水性を高めているといっても経年使用で撥水性も落ちるでしょうし、塗装膜を形成した科学塗料より 吸湿するのは至極当然で、おじいちゃんが言っていた事を妙に納得したのを覚えています。

試しに乾燥した桐の端材を水に漬けてみました。水漬けする前は、34.04ミリ・・・

およそ5分漬け込んだら、約コンマ1ミリの膨張・・・

更に5分漬け込んで計測したら34.20ミリ。10分程でコンマ1.6ミリの膨張でした。

また別の意味で 桐箪笥が火災から中身を守る大きな理由は、桐材に含まれた空気だとも思います。
木材は多孔質であり、小さな空気を沢山含んでいます。比重が少ない値の桐材は 比重の高い他の木材に比べ多くの空気を含んでいます。
その為、熱伝導率の少ない空気が占める割合の高い桐材が 桐箪笥の中身を守ったのではないでしょうか?
でも そういった理由なら、ある程度の厚みのある桐材なら、表面が焼けても内部まで燃え広がるのが遅くなるのも頷けます。
因みに、もっと詳しく書けば【比熱】とか【熱拡散率】といった用語を用いなければならないのでしょうが、僕の能力を超えてしまうので、ご勘弁願います。。

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